オブザバトリーで開催中の企画展

「トーベの本棚」展
2022年5月21日~2023年3月26日

ムーミンの本は読んだことがあっても、その作者がどんな本を読んでいたかはそう知られていないのではないでしょうか。この企画展では、トーベ・ヤンソン (1914–2001) の本棚を紹介しつつ、蔵書が語るヤンソン像を紹介しています。

トーベ・ヤンソンは、挿絵コレクションとともに、様々な言語に翻訳されたムーミン本をはじめ自身の蔵書をタンペレ美術館に寄贈しました。また、1989年には蔵書から410冊もの児童文学書やその研究書、パートナーのアーティスト、トゥーリッキ・ピエティラ(1917–2009)所蔵の冒険本をフィンランド児童文学研究所に寄贈しています。

この企画展は、読書家であったヤンソンの本棚から、異なる文化圏の物語、ブックアート、古典的児童文学を厳選して展示しています。摩訶不思議な民話やおとぎ話に登場する奇妙な生きものたちが織り成す挿絵芸術の世界をご堪能ください。書棚にある本には、大切な人から贈られた添え書きや「ex libris」と呼ばれる蔵書票が貼られていることがあります。ヤンソンの蔵書からは、ムーミンの物語へと通ずる流れを感じ取ることができます。また、そのコレクションからは一世紀に渡る挿絵芸術の歩みをみることもできます。印刷技術の進歩は挿絵作家に新たな表現方法をもたらし、トーベ・ヤンソンはそれを享受した先駆者でもありました。ヤンソンは本を一つの芸術作品と捉え、物語の執筆のみならず、挿絵、グラフィックデザインも担当しています。

企画展内のテキストは、フィンランド語、スウェーデン語、英語でご案内しています。

この企画展は、フィンランド児童文学研究所のご協力を得て実現しました。