ムーミン芸術

ムーミン美術館は、年齢を問わずすべての来館者をムーミン谷への空想の旅へといざなう体験型美術館です。ムーミン谷へと導いてくれるのは、トーベ・ヤンソンが描いたムーミン挿絵の原画で、これは1986年にトーベがタンペレ美術館に寄贈したものです。表情豊かに描かれたムーミン谷のキャラクターたちや、場面によってムードを変える海辺の風景などが、臨場感豊かにムーミンたちの冒険譚を語りかけてきます。トーベ・ヤンソンの人生のパートナーであったグラフィックアーティストのトゥーリッキ・ピエティラが制作した立体絵画ともいえる立体作品は、今にも動き出しそうな躍動感にあふれています。館内で鑑賞していると1~2時間があっという間。何度訪れても新たな発見があることでしょう。

©Moomin CharactersTM.
Tove Jansson.

トーベ・ヤンソンのフランス語版 Moumine le Troll(『楽しいムーミン一家』)表紙絵、1968

順路は本の表紙絵を目印に

ムーミン美術館の常設展「ムーミン本の物語」は、12冊のムーミン本の出版年代順に構成されています。その構成に沿って年代順にムーミンの物語を追ってもよし、また自分の興味の向くままに自由に鑑賞するもよし。順路には、それぞれのムーミン本の表紙絵が設置されていますので、それを目印にそれぞれの本に掲載された挿絵の原画や立体作品をご鑑賞ください。立体作品は、物語の中のできごとを再現した小さな舞台のようなもの。出版年代順に常設展を進んでいくと、トーベの作画スタイルやムーミンキャラクターたちの変遷をも見ることができます。

「さあ、あしたもまた長い、いい日でしょうよ。しかも、はじめからおわりまでおまえのものなのよ。とても楽しいことじゃない!」 と、ムーミンママはいいました。

『ムーミンパパ海へいく』より

ムーミン屋敷はムーミン美術館一番の見どころ 

常設展の一番の見どころは、ムーミン美術館が誇る5階建て、高さ約2,5mの青く塗られたムーミン屋敷です。ムーミン屋敷には数々の秘密が隠されています。電気制御室やムーミンママ秘蔵のジャム貯蔵室を探してみましょう。ここには、実はサウナもあるんですよ。このムーミン屋敷のファサードには、フィンランドの様々な建築様式が取り入れられており、ムーミン本の挿絵にみるムーミンやしきとは趣を異にしています。ムーミン美術館では、この「ムーミン屋敷」をアート作品の一つとして分類しています。そのため、ムーミンの物語に登場する細長い円柱形の「ムーミンやしき」とは区別し、あえて「やしき」を漢字表記しています。ムーミン屋敷を制作したのは、トーベ・ヤンソン、トゥーリッキ・ピエティラ、そして二人の長年の友人で、「初代ムーミンやしき」を制作してトーベ・ヤンソンに寄贈したことから友情が生まれた医師のペンティ・エイストラの3人で、全員の想像力の賜物として誕生しました。

©Jari Kuusenaho.
5階建てのムーミン屋敷.

常設展では、挿絵のスケッチや制作道具も展示

ムーミン美術館常設展では、トーベ・ヤンソンとトゥーリッキ・ピエティラが1993年に寄贈した「細ごまコレクション」からその一部が展示されています。この「細ごまコレクション」には、ムーミンキャラクターたちのスケッチ画、制作道具や立体作品制作用素材などが含まれており、それ以前に寄贈された「ムーミン谷コレクション」を補完するものとして貴重なコレクションになっています。トーベとトゥーリッキ、また二人の友人たちは、自然の中で過ごす時や世界各地を旅行した時などに、立体作品の素材集めに熱中したそうです。

アトリエで、自分だけのアート作品制作を

来館時には館内のアトリエにもお立ち寄りください。アトリエでは、年間を通して美術館開館日にワークショップを開催しています。ワークショップにはインストラクターが常勤していますので、安心してご参加のうえ、自分の中の隠れた芸術性を発掘してみてください。ワークショップの内容は、図画、工作、ハンディクラフト、コミュニティワークなど、定期的に変わります。ワークショップは、美術館開館日の12-16時(予約等による貸切時を除き)に開催しています。

ムーミン美術館のアトリエでは各種ワークショップを開催.

鑑賞のおともに

来館時は館内の雰囲気を楽しみながらご自身で鑑賞することもできますが、何らかのサポートが必要な場合は、館内入口に設置されているガイドブックをご利用ください。ガイドブックには、ムーミンの物語のあらすじやトーベ・ヤンソンにまつわる逸話が掲載されています。ご質問やご不明な点は、緑のユニフォームの美術館スタッフにお尋ねください。立体作品にはスピーカーが設置されているものもありますので、作品の物語を日本語で聴くこともできます。スウェーデン語で語っているのはトーベ・ヤンソン本人です。館内各所に設置されたタブレットには、それぞれのムーミン本のあらすじと、その本執筆時のトーベの人生の一辺が記されています。デジタル版キャラクターブックには、ムーミン谷の住人たちが紹介されています。また、展示作品の中から、お好みのキャラクターを探しながら鑑賞するのも楽しいですね。毎週末には、フィンランド語と英語の無料ガイドツアーも開催されていますので(イベント等により中止される場合もあります)ムーミンの物語についてさらに造詣を深めたい場合は、ぜひご参加ください。また、大人向け、子ども向け、マインドフルネスツアーなど、テーマごとに各種有料ガイドツアーもご予約いただけます。

トーベ・ヤンソン、挿絵『小さなトロールと大きな洪水』、1945

ムーミン美術館は、2021年春にリニューアルオープン

ムーミン美術館の常設展は、2021年春にリニューアルされました。2017年6月開館以来展示されてきた作品は作品保護のため所蔵庫に戻され、現在はムーミン谷コレクションの中から厳選された新たな作品と入れ替わっています。紙に描かれた挿絵は光に弱いため、限られた期間しか展示できません。貴重なムーミン作品を最善の状態で後世に残していくために原画は大切に取り扱っています。

ムーミン美術館へようこそ!